• いざという時の「避難行動」と「確認事項」をまとめた行動予定表。
    それが、自分たちの命を守る「マイタイムライン」です。
    マイタイムラインを作るためには、まず自分の家の状況を知ることが大切です。
    マイタイムラインを作る上で留意すべき点を
    長野市危機管理防災監、鎌田富夫さんにお話を伺いました。

     

 8月27日から29日にかけて九州北部に降った猛烈な雨。警戒レベル5、大雨特別警報が発表され、約88万人に避難指示が出されました。河川の氾濫等による市街地の映像に不安を感じられた方も多いと思います。
 災害は、いつ、どのような状況で訪れるか分かりません。それでも、大雨による川の氾濫や浸水、土砂災害などに対し、自分たちが、「いつ」「どのように」対応するのかを事前に決めておけば、落ち着いて行動できるのではないでしょうか。
 「マイタイムライン」を作るために知っておきたいこと、注意すべき点について長野市危機管理防災監、鎌田富夫さんにお話を伺いました。

──長野市の全戸に洪水ハザードマップが配布されました。自宅が川のそばで浸水するエリアにあり、歩いていける避難所も浸水エリアだった場合、避難はどこにすればいいのでしょうか。

 ハザードマップを確認した際に、自宅が深い浸水エリアだったり、河川の氾濫流による家屋倒壊エリアだった方に一番お伝えしたいのは、「避難とは、歩いていける避難場所や避難所に行く」ことだけではないということです。
 浸水のエリア外に親戚や友人の家があれば、そこに一時避難をさせてもらったり、大型台風などである程度状況が判断できるのであれば、早めに県外へ出るという方法だって考えられます。また、多くの方が「近くの避難所に行かないといけない」と思われているようですが、命を守るために安全を確保できる場所へ逃げることが「避難」なのです。

──遠くの安全な場所に行ってもいいということは、車で行ってもいいんでしょうか。

 水位が上昇する前の早い段階であれば、車での避難でもいいと思います。特に小さなお子さんやお年寄りがいるご家族は、早めに車で浸水エリア外へ移動することも考えられます。
 ただ、雨が非常に強い、道路が冠水しているといった状況での車の避難は危険です。冠水した道路は下が見えないため、側溝や小さな川との境が分からなくなってしまうんです。自分の前の車が側溝にはまっただけで、通行止めと同じ状況に陥ってしまう場合もあります。また、車が走れるのは20 cmくらいまでで、それ以上になると車が動かなくなり、最悪、閉じ込められることもあります。車で避難することを考えるのであれば、少なくとも警戒レベル3での避難としてください。
 いずれにしても、自分の家は危険なエリアだから、他の人より一段階早めに動かないといけない、ということだけは認識していただきたいと思います。

──早めに遠くへ避難しても、浸水外エリアの避難所は開設されていないのではないですか。

 避難所の開設は、避難勧告等で順次開設していきます。避難準備・高齢者等避難開始などを市から発表する際は、災害の危険性や天候などを考慮して、安全な場所の避難所を市が開設します。また、どの避難所が開設されたかは「長野市防災情報ポータル」で確認することができます。
 早い段階で浸水の及ばない安全な場所へ避難した場合の車は、自分たちだけの簡易避難所として使えます。ラジオで情報も確認できますし、携帯も充電できます。もちろん雨風もしのげます。燃費のことを考えてガソリンを満タンにしない方もいますが、災害のことを考えれば、燃料は常に満タンにしておいたほうがいいと思います。

──テレビやラジオのほかに、警戒レベルや警報を知ることはできますか。

 警戒レベルや注意報、警報等はテレビやラジオはもちろん、県や市の防災情報ポータルサイトでも随時発表しています。
 台風や大雨の際に、心配だからと川の様子を見に行かれる方がいらっしゃいますが、本当に危険ですので絶対に行かないでください。各河川の主要なポイントにはライブカメラが設置され、リアルタイムで確認できるようになっています。水位を確認するのであれば、「NHKデータ放送」でチェックするか、「長野県河川砂防情報ステーション」「川の防災情報」等のホームページで確認してください。

(2019年10月号掲載)

詳しくは

  • NHKデータ放送
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