長野市伊勢宮に本店を構える「旬彩菓たむら」は、季節の旬、そして人生の折々に訪れる旬を彩るお菓子を作り続けています。大切にしているのは、ともに歩む地元の恵みを活かすこと。長野は美味しい果実や蜂蜜、卵や牛乳、小麦粉やもち米など、素晴らしい食材の宝庫です。そんな恵みをお菓子に込めて、お客様に笑顔をお届けすることが、旬彩菓たむらの願いです。
 今回は、雪深い野沢温泉村で米作りに取り組む、野沢農産生産組合の髙橋義三さんにお話を伺いました。
水のきれいなところに
美味しいお米は育つ。
 家業を継いで18歳から農業一筋。もう50年近く農業を生業としていますが、毎年1年生の気持ちで取り組んでいます。天候も気温も土壌も、工場のように全く同じ環境というのはありえません。毎年違う状況の中で作物を育て、勉強して、次の年にまた気持ちも新たに挑戦する。農業はその繰り返しです。思うようにいかないことも多々ありますが、それでも秋に収穫したお米や野沢菜を、皆に美味しいと言ってもらえると嬉しくてね。その喜びや達成感があるから、農業を続けていけるんだと思います。
 今は米を90町歩(約90 ha)、野沢菜や大豆、麦、蕎麦などで60町歩(約60 ha)と、合わせて約150町歩(150ha)ほどの田畑で作物を育てています。お米は「こしひかり」を中心に、「ミルキークイーン」「風さやか」「つきあかり」など4種類。さらに3町歩ほどで「もちひかり」というもち米も栽培しています。米やもち米は、水が良い土地で育てると美味しいお米になるんです。野沢温泉村にはブナの木などの広葉樹が多く、その葉がたっぷりと敷き詰められた大地を通ってミネラル豊富な水が湧き出るため、美味しいお米が育ちます。恵まれた地の利を活かして、少しでも良いお米が育つよう、日々努力しています。
厳しい天候と戦いながら
美味しいお米を作り続けたい。
 野沢農産では「長野県の環境にやさしい農産物認証制度」の認定を受けた米づくりに取り組んでいます。有機肥料を使い、化学肥料も通常の半分以下に削減して栽培することで、お客さまに安心して食べていただけるお米を作り続けています。また、近年の夏の暑さによる高温障害に対応するため、田植えの時期をずらすなどの対策もしています。「土用干し」といって、夏の土用の丑の日の頃に田の水を抜いて乾かし、根を強く張らせるという工程があるのですが、それも毎年生育を確認し、タイミングを見ながら調整していますよ。お米にちょうどいい気温は、昼が27℃くらい、夜は20℃くらいなんですが、最近は野沢温泉村でも35℃を超える日が続くこともあります。この時期をいかに乗り越えるかが、今後の米づくりの重要な課題になると考えています。また収穫の頃は台風シーズンでもあるため、毎年、天気予報を見ながらひやひやしていますよ。稲は一度寝てしまうと起きてこないので、無事に収穫できた時はほっとします。そうしてやっと、皆さんの手元にお米が届くわけです。
 「旬彩菓たむら」さんとは、もう6年ほどのお付き合いですね。うちが栽培しているもち米、「もちひかり」で赤飯を作りたいと連絡をいただいたのが最初です。「もちひかり」はもともと長野県生まれのもち米で、昭和60(1985)年に品種登録されました。粒揃いが良く、甘味とコシの強さが特徴で、搗いた時にだらけることがありません。たむらさんで試していただいた時に、「今までのもち米と仕上がりや美味しさが違う」と言っていただけた時は嬉しかったですね。たむらさんは昔ながらの「小豆のしぶ」で炊く赤飯を作られていて、その職人の心意気にも感銘を受けました。赤飯といえば、人生の節目や門出の祝い。その祝いの席に、うちのもち米で作ったたむらさんの赤飯が届くかと思うと、こんなに嬉しいことはありません。




  • 本店
  • 住所/長野市伊勢宮1-18-14
  • TEL/026-228-9235
  • 営業時間/9:00~18:00
  • 定休日/月曜日
  • 駐車場/8台

  • ながの東急店
  • 住所/長野市南千歳1-1-1ながの東急百貨店 地下1F
  • TEL/026-226-8181(ながの東急代表)
  • 営業時間/10:00~19:00
  • 定休日/ながの東急百貨店に準ずる
  • 駐車場/ながの東急百貨店駐車場をご利用ください。
  • http://www.shunsaikatamura.com/


(2025年3月号掲載)