「どら・セッション」最後となる第5弾は、ながの東急百貨店のバイヤーさんとのセッションとなりました。集大成ともなる今回は、やはり百貨店のバイヤーさんならではの視点で、限定販売をマーケティングのための期間として捉え、いずれは継続的に製造、販売できる、新たな新定番となり得る商品を目指すことになりました。
そのアイデアのひとつとしてあがったのが、戸隠のそば農家さんの「そばはちみつ」を使ったどらやきです。さっそくサンプルを分けていただき、試作に取りかかりましたが、ここで問題が発生。養蜂家さんからの仕入れではないはちみつを、販売するお菓子に使用するのは難しいとのこと。社内でも、何かトラブルがあった際に不明確な部分があってはいけないと検討した結果、この案は残念ながらボツとなってしまいました。
時間も差し迫った中でふりだしに戻った時、開発のキーワードである「信州らしさ」「たむららしさ」をクリアした上で、継続的な製造販売にも対応できる商品として思いついたのが、「たわわ」のバージョンアップです。
見た目はどらやきそのものの「たわわ」は、実は皮も餡もまったく違う製法で作られています。餡に使用しているりんごは、長野県産の「しなのゴールド」。シナモンとレモン果汁をたっぷりと加えた餡は、りんごの食感もしっかりと残っていて、まるでアップルパイのフィリングのようです。そこにエアレーションしたカルピスバターを合わせることで、たむらの人気商品である「あんバタ」と双璧を成す商品になるのではないか。今まで考えもしなかったことでしたが、さっそく組み合わせてみたところ、思った以上の相性の良さで自分でも驚きました。
新提案!
フォークで味わう
ホット「たわわバター」
さらに、この組み合わせは、どらやきの新しい楽しみ方も提案できることに気づきました。「たわわバター」を電子レンジで、バターがとろりと溶けるくらいまで温めると、ホットケーキとアップルパイを合わせたような美味しさになるんです。コーヒーとの相性も抜群で、カルピスバターのほどよい塩味と、シナモンの効いたりんご果肉たっぷりの餡、温められてふんわり食感が強調された皮のすべてのバランスが最高です。予想以上の美味しさで、和にも洋にも変化し、2通りの味わい方が楽しめるどらやき、「たわわバター」が完成しました。
地域の皆さんとともに
長野をもっと
盛り上げていきたい
これまで、新社会人から始まり、まちの本屋さん、高校生、大学生、バイヤーさんと一緒に、さまざまなどらやきを作ってきました。どれも自分では思いつかないようなアイデアに挑戦する機会となり、苦しみつつも、楽しい時間となりました。たむらとともに、新しいどらやきに挑戦してくださった皆様に心より感謝いたします。今後も職人一同、菓子作りに真摯に取り組んでまいります。これからもよろしくお願いいたします。
来月号からは新しい企画が始まります。ご期待ください!