今は情報過多の時代。インターネットでさまざまなものを見たり知ったりすることができますが、博物館の使命として、リアルを共有していくべきだと考えています。実際に博物館の望遠鏡で覗いて見る「今」の星は、まさしく今この瞬間、宇宙から届いている光を見ているということです。「何百光年離れた星が放つ何百年前の光を今、見ているんだ」ということを実感してもらえたら嬉しいですね。
市立博物館では毎月第4土曜日に、プラネタリウムの投影と40 cm反射望遠鏡での星空観察を行っています。これからどんどん寒くなっていくので、防寒をしっかりして、ぜひリアルな星空を楽しんでいただけたらと思います。
この観察会以外にも、ご協力いただいているボランティアの皆さんや同好会のメンバーが中心となって、さまざまな場所で観察会を行っています。長野駅で通りがかりの人に月を見てもらう、という企画を開催したこともありました。ふだん興味がない人ほど、本物を見た時の感動の振り幅が大きいんですよね。最近は阿智村の事例もあり、星空観察のツアーを開催する市町村も出てきました。私自身、新しいプラネタリウムプログラムの企画や観察会などを通して、少しでも星を楽しむ人の裾野を広げ、星を通して長野県全体が活性化できるよう取り組んでいきたいと思います。
秋は、夏よりも夜が長く気候的にも良い季節なので、ぜひ星や月を見てほしいですね。中秋の名月と言われるように月も綺麗ですし、アンドロメダ銀河も見ることができます。長野県はもともと標高が高く、さらに街中からでも車で少し走れば星が綺麗に見える場所まで行くことができるので、星を見るには最適な環境です。秋の夜長にのんびり星を眺めてみてはいかがでしょう。