• コミュニティセンターとして
    皆さんとともに
    さまざまなチャレンジを通して
    地域を元気にしていきたい。

東京への憧れと好奇心が
いつも自分の道を決めてきた。

 新潟県新潟市で生まれ育ちました。10代の頃は、とにかく東京に憧れて。渋谷にしかないモノ、東京でしかできないコトに挑戦したいとずっと思っていましたね。念願叶って東京の大学に進学した後は、好奇心に突き動かされるまま東南アジアをバックパッカーで旅したりと、さまざまな経験を重ねました。
 無印良品と出会ったのも、大学生の頃です。青山に無印良品の1号店があって、そのシックなレンガ造りの佇まいや、単にシンプルなだけではない、商品一つひとつに込められたメッセージやストーリーに惹かれました。当時の日本は急激な経済成長の只中で、大量生産・大量消費が当たり前の中、環境や生産工程の負荷をなくし、生活する私たちにとって本当に役に立つ商品だけを提供するという姿勢に憧れましたね。ご縁をいただき無印良品を運営する良品計画に入社できた時は、本当に嬉しかったです。
 入社後は、愛知や岐阜、横浜で店舗を任されました。お客様と対面する接客や店舗運営は、自分にとって無印良品のコンセプトを、改めて再構築する時期だったように思います。商品に込められたメッセージがお客様に伝わらないと自問自答することもあれば、逆に自分以上に無印良品を愛し、共感してくださるお客様に励まされたり。お客様から教えられ、学ぶ日々の中で、無印良品の商品価値を伝える売り場作りに取り組んでいきました。

コミュニティセンターとして
地域とともに歩んでいきたい。

 売り場作りの面白さに目覚めた頃、チャンスをいただき海外への出店に携わることになりました。中国や韓国、シンガポールやマレーシア、インド、欧州、アメリカなど、さまざまな国に出店する際に心掛けたのは、「標準化」と「現地化」です。無印良品というブランドとして守るべきラインと、現地の人たちに受け入れてもらうためのインパクトを融合させ、その国ならではの文化を取り入れながら、その国独自の無印良品を築いていきました。約10年間、各国を飛び回りながら感じたのは、無印良品の価値観は普遍的で無限大だということです。国や宗教、イデオロギーを超えたボーダレスな存在として、人間の衣食住を支える水や空気のような存在になり得るのが無印良品だと、改めて確信することができました。
 良品計画は2021年に「第二創業」を掲げ、現在、原点に立ち返って2つの使命を果たそうと日々、取り組んでいます。ひとつは、日常生活に必要なものを誠実に開発し、使うことで社会を良くする商品を手頃な価格で提案すること。ふたつ目は、各地域の店舗がコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域の方々とともに地域課題に取り組むことで、良い循環や広がりを生み出していくことです。
 私自身、この「第二創業」の実現に向け、海外で経験したことを今度は国内に活かしていきたいと、地元である新潟県と長野県の2県で信越事業部を起ち上げ、取り組み始めました。2020年7月にオープンした「無印良品 直江津」は、中心市街地活性化という役割を担い、地域の方たちとの交流の中から、店舗内マルシェ「つながる市」を開催したり、移動式店舗「MUJI to GO」で店舗のないエリアを巡ったりと、上越エリアの拠点として展開しています。
 この夏、オープンした長野市青木島の店舗もまた、地域の皆さんとともにさまざまな取り組みを行うことで、コミュニティセンターとしての役割を担う「場」になりたいと考えています。そのためにも、まずは多くのお客様に親しんでいただけるお店に育てていきたいと思っています。

(2024年12月号掲載)