サステナブルな視点で
地域の観光を見つめ直したら
新しい旅の楽しみ方が見えてきた。
2015年の国連サミットで「SDGs」が採択され、2030年までに達成すべき世界共通の目標が示されてから、来年で10年。私たちは、持続可能な社会へと舵を切れているのでしょうか。
このシリーズでは、さまざまな課題解決のために、長野の企業や団体がどんな取り組みを始めているのかをご紹介します。今回は、北信濃観光連盟事務局であり、(公財)ながの観光コンベンションビューローの観光部チーフである竹内さんにお話を伺いました。
日本中、世界中の方に
訪れてほしい魅力ある地。
ながの観光コンベンションビューローは、長野冬季オリンピックを機に、大型の施設を活用するコンベンション誘致と、長野市の観光情報の発信・誘客を目的として立ち上げられました。以来約20年にわたり、さまざまな取り組みを展開しています。
ここ数年、求められる情報や発信の手法は大きく変化しました。「観光」であれば団体ツアーから個人型旅行へ、また日本国内だけではなく、インバウンド誘致が重要になっています。「コンベンション」では、コロナ禍を経てオンラインを活用したハイブリッド型の大会やイベントへの対応が求められるようになりました。またSNSによる情報発信が必須となり、従来の内容とは違う切り口が求められるようになっています。
例えば善光寺は、これまでどちらかといえば年配の方が多いという印象でしたが、仲見世の食べ歩きや大門周辺のリノベーションカフェ等がSNSで発信されることで、若い方が増えているように感じます。戸隠神社の奥社も、海外の方がスノーシューで冬の奥社を訪れ、雪景色がSNSで注目されて、その美しさを求めて多くの方が訪れているそうです。誰もが情報を発信できる時代になったからこそ、ながの観光コンベンションビューローも、「自分たちが発信すべきことは何か」を常に考え、ながのの魅力を伝えていきたいと考えています。
視点を変えることで
新しい魅力を伝えていきたい。
2015年の国連サミットで「SDGs」が採択されて以降、学校教育の一環として子どもたちがSDGsを学ぶようになり、地球環境の問題や持続可能な社会への取り組みについて、若い世代を中心に意識が高くなってきています。
そのような機運の中で、地域観光をサステナブルな視点で見直した時、実はこれまで「体験」や「散策」として提案してきたことが、サステナブルなコンテンツであったことに改めて気付かされました。豊かな自然と伝統文化が息づく地方だからこそ提案できるサステナブルな旅は、これまでとは違う切り口で、新たな魅力を感じていただけるのではないかと期待しています。また、単独ではなく北信濃観光連盟として北信濃・妙高エリア全体の情報を集約、発信することで、SDGsへのアンテナが高い方や学習旅行のプログラムを求める学校等からも、多くのお問い合わせをいただいています。
中でもサステナブルな観光として近年注目されているのが、E−BIKEを中心としたレンタサイクルです。長野市内では、長野駅前、松代、飯綱高原、戸隠、鬼無里の各所で台数を増強。北信濃・妙高エリア全体でも取り組むところが増え、モデルコースやガイド付きのサイクリングツアーも好評です。公共交通機関とタッグを組んで展開しているところもあり、今後、ますます需要は高まっていくと考えています。CO2を排出せず、美しい自然を自分のペースでゆっくりと楽しむことができるため、これからのグリーンシーズンにおすすめです。
ながの観光コンベンションビューローでは、県外や海外の方はもちろん、地域の方にもサステナブルな視点で身近な旅を楽しんでいただきたいと思っています。知っているようで知らなかった新しい発見や、お気に入りのスポットを見つけることで、自分が暮らす地元を今まで以上に好きになるかもしれません。興味のあるコンテンツに、ぜひご参加ください。
(2024年8月号掲載)