現在、中野市の空き家の数は1、000軒ほどあると言われています。ただ、それが市場に出てこないんですね。先祖が守ってきた家を他の人に貸すことに抵抗があってあきらめていたりと理由はさまざまですが、空き家を利活用するハードルが非常に高くなってしまっているんです。空き家を活用して何かを始めたいと考えている人は多いのですが、需要と供給が合っていないのが現状です。私の役目は、そのハードルを少しでも下げることだと考えていて、そのためにできることを模索、実行してきました。
そのひとつが、「ゴッタク市」というイベントです。お世話になっている早川建築さんにご協力いただき、2022年の秋に第1回目を開催。翌23年は春と秋の2回行い、今年のゴールデンウィークに第4回となる「ゴッタク市」を開催しました。空き家問題の課題のひとつである残置物を活かす古物販売のほか、スタンプラリーを開催するなど、地域全体を巡る参加型のイベントは回を重ねるごとに盛り上がってきています。メディア等で取り上げていただく中でイベントを知って参加してくださる方も多く、実際に古物を目にする中で「家にもあるかも」と気づくだけで、空き家相談へのハードルが少し下がるのではないかと期待しています。
また、活動の拠点として昨年の春に「NAKANO DROP」をオープンさせました。ここは、私が地域の方と交流する中でお借りすることができた物件で、もともとは「ヤマダ印刷」という印刷屋さんでした。今後はここを中心にさまざまなイベントを展開し、まちの交流・情報交換の「場」に育てていきたいと考えています。今年の3月で地域おこし協力隊の任期を終えましたが、これからも中野市の空き家問題や地域交流のためにできることを、一つひとつ実践していくつもりです。そしていつか「NAKANO DROP」という小さな点から面へとエリアリノベーションを広げ、それをさらに他の地域にも広げていければ最高ですね。