環境に配慮した印刷技術で
お客様とともに持続可能な社会の実現に
取り組んでいきます。
2015年の国連サミットで「SDGs」が採択され、2030年までに達成すべき世界共通の目標が示されてから、来年で10年。私たちは、持続可能な社会へと舵を切れているのでしょうか。学校教育にも「SDGs」の視点が取り入れられ、SDGsという言葉やサステナビリティという言葉もよく耳にするようになりました。日常生活では、エコバッグやアップサイクル商品の購入など、すでに定着した取り組みも多くあります。この流れをさらに加速させ、みんなで持続可能な社会を実現するために何をすべきなのでしょうか。
このシリーズでは、さまざまな課題解決のために、長野の企業がどんな取り組みを始めているのかをご紹介します。第1回目は、長野市にある印刷会社、東洋印刷株式会社の高野常務さんにお話を伺いました。
情報を伝える印刷の変遷
を通して見えてきたこと。
東洋印刷株式会社は、昭和33(1958)年、カシヨ情報グループの「オフセット印刷プロ集団」として創業し、以来今日まで歩み続けてきました。
この50余年の間に印刷技術は日々進歩し、と同時に求められることも変化し続けています。美しいカラー印刷を追求する時代を経て、情報のデジタル化が進み、そして今、印刷は持続可能な社会の実現のために、新たな視点でさまざまな技術革新が進められています。
東洋印刷株式会社では、長野の老舗印刷会社として社会的責任を果たしていくため、「長野県SDGs推進企業登録制度」に登録し、新たな取り組みを始めています。現在、私たちが提案するのは、印刷時に必ず必要となる3つのこと。「紙」、「インキ」、そして「印刷技術」です。
新たな印刷技術で
環境にやさしい情報発信を。
まず、印刷には「紙」が必要です。紙は環境破壊の代名詞のようにいわれることもありましたが、現在では環境に配慮したサステナビリティな考えが浸透してきています。「FSC認証紙」もそのひとつ。きちんと管理された森林から生産される紙を取り扱うには認証が必要で、FSC認証紙を使って印刷された印刷物には、それを証明するマークをつけることができます。
次に必要なものが「インキ」です。環境に優しい植物油を含有した「ベジタブルインキ」は、インキが開発された2008年から導入しています。インキメーカーからテスト印刷を依頼されるほど、当時はまだまだ環境に配慮したインキは知られていませんでした。ベジタブルインキはVOC(揮発性有機化合物)の排出がほとんどなく、環境負荷低減に寄与しています。このインキを使用した印刷物にもマークがつけられるので、目にした方も多いのではないでしょうか。
そして最後に「印刷技術」です。2年前から取り組んでいる「水なし印刷」は、有害な廃液を出さず、水や空気を汚さない新しい印刷技術です。「日本WPA(日本水なし印刷協会)」に登録し、水なし印刷に取り組んでいる企業は全国でもまだ100社余りで、長野県内には3社しかありません。さらに東洋印刷では「カーボンオフセット」にも取り組み、印刷物を製造する際に排出されたCO2量を算出し、その分を環境関連事業のクレジット(排出権)で相殺することで、印刷物のCO2排出量を実質ゼロにする提案もしています。
「紙」、「インキ」、そして「印刷技術」。これらはすべてサステナビリティの視点に立って開発されたものです。この技術を広くお客様に啓蒙することが、私たちの使命であると考えます。これからもグループの社是である「もっとも古く、もっとも新しく」を体現し、印刷のプロ集団として一層の飛躍と社会貢献を実現していきます。
(2024年4月号掲載)