• 志賀高原の
    雄大な自然から
    学ぶべきこと、知るべきことが
    もっとあるはずだ。

      • 志賀パークホテル

        代表取締役
        小根澤 資弘

        Motohiro Onezawa

      • 志賀パークホテル
      • 下高井郡山ノ内町大字平穏7149
      • https://shiga-park.co.jp

2代目として
料理の世界からホテル業へ。

 生まれも育ちも志賀高原。大自然の中、志賀パークホテルを立ち上げた父の背中を見て育ちました。当時はスキーの学習旅行が盛り上がってきた頃で、全国各地から中学校や高校の生徒さんたちが志賀高原を訪れていました。今より子供の数も多かったので、ホテルも賑やかでしたね。そんな中で日本各地に特色のある学校がいくつもあることを知り、いつしか自分も県外に出てみたいと思うようになりました。念願かなって進学した東京の高校は、全寮制の男子校。全国各地から集まってきた仲間とともに過ごした3年間は、今も自分の宝となっています。
 大学に進学して飲食店のアルバイトを始めてから、料理の奥深さに目覚めました。実は大学を卒業後、一度は就職したのですが、料理の世界を追求したいという思いが強くなり、1年間専門学校と語学学校に通ってフランスに留学したんです。5年ほどさまざまなお店で修業し、本気でフレンチのシェフを目指していました。でもある時、父から「お前にホテルを継いでほしい」と言われて。それはもう悩みましたけれど、覚悟を決めて日本に帰りました。志賀高原に戻ったのが長野オリンピックの1年前。そこから、料理の世界とはまったく違う、ホテルの仕事を学び始めました。

志賀高原でしか体験できない
新しい商品を展開。

 ホテルの仕事に携わるようになってから25年ほど経ちますが、この間、志賀高原を取り巻く状況は大きく変わってきました。中でもスキー人口の減少とコロナ禍の影響は大きく、各ホテルとも大きな打撃を受けました。私自身強い危機感を感じ、JTBの担当者と志賀高原ならではの商品を生み出せないか思考を巡らせていました。
 そもそも志賀高原は、上信越高原国立公園であり、ユネスコエコパークにも認定されている自然豊かなエリアです。誇れる自然があるのに、通年で活用される商品が少ない。冬だけでなく、春や夏も団体で訪れてもらうには、と考えた時に浮かんだのが「おてんま」でした。「おてんま」とは、その地域に住む人が、例えば木道の修理や水の管理、ゴミの清掃など、「みんなのためになることをみんなでやる」作業のことを指します。よく考えたら私たちが普段、志賀高原のために365日やっている「おてんま」こそが、SDGsだったと気づいて。そこから志賀高原のホテルの若手メンバーとともに、志賀高原ならではの体験プログラム「志賀高原SDGs STUDY TOUR」を開発しました。
 さらにこの商品を魅力あるものにするために加えたのが、「2030 SDGsカードゲーム」です。これはイマココラボという一般社団法人が開発したSDGsのカードゲームで、ゲームを通して経済・環境・社会がどのように発展していくのか、当事者として疑似体験することができます。このゲームを「STUDY TOUR」の事前学習としてパッケージングし、その経験を踏まえた上で志賀高原の体験プログラムに参加することで、より深くSDGsを理解することができます。ゲームと実体験を組み合わせた、志賀高原らしい素晴らしい商品ができたと思います。
 現在、私の他に、志賀レークホテルの児玉専務、木戸池温泉ホテルの小林専務、硯川ホテルの佐藤専務、志賀一井ホテルの児玉営業部長がファシリテーターの資格を持ち、日々活動しています。すでに30校以上の学校がカードゲームと「志賀高原SDGs STUDY TOUR」に参加しました。また最近は企業研修として依頼が増えてきています。この経験を基に、これからも志賀高原の自然を通して新たな経験・発見ができるような商品を、志賀高原から提案していきたいと思います。

(2024年1月号掲載)