ホテルの仕事に携わるようになってから25年ほど経ちますが、この間、志賀高原を取り巻く状況は大きく変わってきました。中でもスキー人口の減少とコロナ禍の影響は大きく、各ホテルとも大きな打撃を受けました。私自身強い危機感を感じ、JTBの担当者と志賀高原ならではの商品を生み出せないか思考を巡らせていました。
そもそも志賀高原は、上信越高原国立公園であり、ユネスコエコパークにも認定されている自然豊かなエリアです。誇れる自然があるのに、通年で活用される商品が少ない。冬だけでなく、春や夏も団体で訪れてもらうには、と考えた時に浮かんだのが「おてんま」でした。「おてんま」とは、その地域に住む人が、例えば木道の修理や水の管理、ゴミの清掃など、「みんなのためになることをみんなでやる」作業のことを指します。よく考えたら私たちが普段、志賀高原のために365日やっている「おてんま」こそが、SDGsだったと気づいて。そこから志賀高原のホテルの若手メンバーとともに、志賀高原ならではの体験プログラム「志賀高原SDGs STUDY TOUR」を開発しました。
さらにこの商品を魅力あるものにするために加えたのが、「2030 SDGsカードゲーム」です。これはイマココラボという一般社団法人が開発したSDGsのカードゲームで、ゲームを通して経済・環境・社会がどのように発展していくのか、当事者として疑似体験することができます。このゲームを「STUDY TOUR」の事前学習としてパッケージングし、その経験を踏まえた上で志賀高原の体験プログラムに参加することで、より深くSDGsを理解することができます。ゲームと実体験を組み合わせた、志賀高原らしい素晴らしい商品ができたと思います。
現在、私の他に、志賀レークホテルの児玉専務、木戸池温泉ホテルの小林専務、硯川ホテルの佐藤専務、志賀一井ホテルの児玉営業部長がファシリテーターの資格を持ち、日々活動しています。すでに30校以上の学校がカードゲームと「志賀高原SDGs STUDY TOUR」に参加しました。また最近は企業研修として依頼が増えてきています。この経験を基に、これからも志賀高原の自然を通して新たな経験・発見ができるような商品を、志賀高原から提案していきたいと思います。