須坂市の地域おこし協力隊に応募したのは、自分がやりたいと思っていた空き家再生と、須坂市が求めていた地域活性の方向性が合致したことが大きかったですね。2021年に着任して地域の方々と関わる中で、「まち」を本当の意味で活性化するには、若い人たちが地域に出ていかないと変わることはできない、と強く感じるようになりました。
そこですぐに須坂高校の先生に連絡を取り、まちづくりに興味のある生徒さんに声を掛けて、「今、須坂で何をやりたいか」を皆で話し合ってもらったんです。そうしたら「地域と関わりたい」「まちに自分たちの居場所がほしい」「自分たちでまちのために何かしたい」と、次々に言葉が溢れてきて。これは本当に嬉しかったですね。そこからは、あっという間でした。16人の熱意のある生徒を中心に「Let's try project」を発足したのが12月。ミーティングを重ねながら、まずは自分たちの活動の拠点を作ろうと物件を探し、2022年3月からリノベーションをスタートさせました。生徒たちにとっては初めての経験でしたが、自分たちで考え、自分たちで手を動かしました。そして今年の2月、高校生の学習スペース&交流拠点「coto2(コトコト)」がオープンしたのです。
「coto2」の由来は、じっくりコトコト煮込むように自分たちの将来や須坂市のことを考えられたら、とメンバーが名付けました。既にさまざまな形で高校生の拠点として活用されています。また、この活動を見て自分も参加したいと、新たに市内3校を中心に36名の1年生がメンバーに加わってくれました。いくつかのプロジェクトが進行中で、中でも高校生主体のカフェ「Aile」は、来年1月オープンを目指し、リノベーションが始まっています。新たな「場」からどんな交流が生まれるのか楽しみです。
この春、「Let's try project」に参加した高校生のうち何人かが、まちづくり系の学部に進学しました。須坂のまちづくりに関わった子たちが、志を持って専門的に学び、須坂に戻ってきてくれれば須坂は必ず変わります。そのためにも、この場所を守り、継続し、戻って活躍できる場を、私自身はもちろん、まち全体で大人たちが真剣に考えていかなければならないと思っています。