現在、私が栽培しているナガノパープルは、糖度が約22~23度、粒の大きさは、20~23gあります。それぞれの平均が、糖度19~20度、粒の大きさが16~18gですので、すべてが上回っています。食べていただくとわかるんですが、とにかく甘味が強くジューシーで、一粒の食べ応えがあり、満足度が違います。
これは、傾斜のない土地に建てた自動開閉式のオリジナルビニールハウスによって、ぶどうの房に直射日光がしっかり当たるようにしたこと。さらに、ハウス内にカメラを入れて、日照量時間や室温度、湿度、地面温度などをデータ化し、そのデータをもとに栽培することで、もっとも美味しいナガノパープルが育つようコントロールしているからです。データを「見える化」することで、「成長」「完熟」「熟成」の3つのスイッチをオンにすることが可能となり、極上の美味しさと最高の品質を実現できるようになりました。
さらに流通改革にも挑戦しました。常温で出荷されているぶどうとは一線を画し、早朝、果実の温度が安定している時間帯に収穫したら、すぐに冷蔵室で保管。同じ温度帯で選別や計量、箱詰めを行い、そのまま冷蔵車で市場へ出荷します。すべての流通を同じ温度帯で行うことによって、売場でも冷蔵ケースの中で販売される、生鮮品としての物流を実現しました。これにより、完熟でありながら、茎が美しいグリーンのままのナガノパープルを、全国へお届けすることが可能になったのです。
当社では、栽培しているぶどうの中でも品質の高いものを、「皇貴」という自社ブランドで販売しています。これらは高級な贈答品として首都圏をはじめとする百貨店等へ流通していますが、木で完熟させたにもかかわらず、時間が経過した後に房をゆすっても実が落ちません。それだけ品質を保ったまま、お客様のお手元までお届けできているという証拠です。
長野県の農業試験場で生まれたナガノパープルも、来年で品種登録から20年。私の栽培歴も20年となります。開発当初からともに歩んできたナガノパープルのパイオニアとして、自信と誇りを持ってこれからもナガノパープルを作り続けていきます。長野地域の皆さまにもぜひ一度、「皇貴」を味わっていただければ嬉しいですね。