以前、信大の先生にすや亀のみそを分析していただいたことがあるんですが、うちのみそは乳酸菌の種類が多いそうです。これは蔵付き酵母が影響していると思われ、同じ素材を同じ分量で仕込んでも、すや亀の味はすや亀にしか出せません。「うちのお味噌汁の味は、すや亀さんのみそじゃないと」と、長年ご愛顧いただいているお客様も多く、それぞれのご家庭の味になっていることを嬉しく思っています。
みその加工品も数多く展開していますが、中でも平成元年に販売を始めた「みそソフトクリーム」は、長野のご当地ソフトクリームとして人気になりました。これは現店主が東京に行った際に、当時はまだ珍しかったさまざまな野菜のアイスクリームの存在を知り、「だったら、みそでもできるんじゃないか」と、思い付いたのがきっかけです。試作を開始してから約半年、試行錯誤を繰り返し、すや亀のみそ等3種をブレンドしたベストな配合を見つけ出しました。最初のひと口でふわりとみその香りを感じ、味はまるでキャラメルのような美味しさで、最後にわずかに塩味を感じる「みそソフトクリーム」。今も善光寺お膝元のみそ蔵スイーツとして、また善光寺参りの仲見世の名物として、多くの皆さまに愛されています。販売から30年以上経ちますが、先日も全国放送のテレビで取り上げていただき、とても嬉しかったですね。
商品開発に本格的に関わるようになって10年以上経ちますが、商品を開発する際に意識しているのは、良質な素材を用い、安全で美味しく、そして手軽に楽しめるものであること。「味」を見極めることは非常に難しく、常に試行錯誤の連続ですが、最終的には自分が美味しいと思うもの、自分自身の味覚を信じて商品を仕上げています。今は共働きで子育てをするご家庭が多く、皆さん日々、忙しく過ごしていらっしゃいます。そんな方たちにも手軽に使ってもらえるような、「良い食品」を提案していきたいと思います。
今、古より作り続けられてきたみその力、発酵の力が見直されてきています。すや亀はこれからも実直に、人の幸せの根源である健康のため、みそのある暮らしを提案し、みその持つ力を伝え続けていきたいと思います。