ご縁があって信濃町に就職した後は、いくつかの業務を経て、令和2年に「黒姫童話館&童話の森ギャラリー」の配属となりました。ちょうどコロナ禍が始まったばかりで、当館も休館せざるを得ない状況でしたが、その期間を利用して、国内外の絵本に多く触れることができました。その後は状況を判断しながら開館してきましたが、今年の春からはまた新たな気持ちで多くのお客様をお迎えできることを嬉しく思います。
当館は、四季折々に美しい、自然豊かな黒姫高原にあります。黒姫童話館では、『モモ』や『はてしない物語』の作者であるミヒャエル・エンデ、『モモちゃんとアカネちゃんの本』シリーズを生み出した童話作家である松谷みよ子を中心に、国内外の童話・民話や絵本原画を収蔵、展示しています。ほかにも、童話の世界に入れるおもしろい仕掛けや、自分の好きな絵本を館外に持ち出して自然の中でのんびりと読める「森の図書館」など、さまざまな楽しみ方を提案しています。ちょっと展示を見るのに疲れたら、絵本や児童書がそろっている「本と人形の部屋」で、座ってぼんやりするのもいいですね。この部屋では定期的におはなし会や紙芝居を開催しています。おはなしを目で見、耳で聞くことで想像したり自分の経験と重ね合わせたりと、子どもから大人まで感情の幅を広げ、心を自由にして楽しんでもらえれば嬉しいです。7月15日(土)・16日(日)には美咲蘭さんの「おはなしファミリー劇場」を童話の森ホールで開催する予定です。2人以上で行う群読や音楽つきの朗読は、より一層おはなしに親しんでいただけると思います。
隣にある童話の森ギャラリーでは、信濃町にゆかりのある作家の所蔵作品展や夏の特別展を開催しています。今年は、4月15日(土)から7月17日(月・祝)まで、「ちひろ山荘ものがたり ~画家いわさきちひろと建築家奥村まこと~」と題した企画展を開きます。昭和という時代の中で、夫や子どもとの生活、親の介護、仕事をしながら自立して生きた2人の女性を、ちひろ山荘を軸に語ります。
町内には、当館以外にも「一茶記念館」と「野尻湖ナウマンゾウ博物館」の文化施設があります。各館ではこれら3館を巡る周遊きっぷを販売しています。11月末まで使えるので、グリーンシーズンの信濃町をゆっくりのんびりお過ごしください。