焙煎度の違うコーヒーで
テイスティング
コーヒーとお菓子というのは、それだけで相性が良い組み合わせですが、蕎麦朧という唯一のお菓子に合うコーヒーを選ぶというのは、珈琲屋としても非常に面白く、楽しませてもらいました。蕎麦朧を初めて食べた時は、ほろほろとした独特な食感と、蕎麦の香りに驚きました。この美味しさに合うコーヒーを私なりに想像しながら、テイスティングを行いました。
普段、店の営業時はハンドドリップで抽出しコーヒーを提供しているのですが、蕎麦朧との相性を検証するため、今回はフレンチプレスで抽出しました。選んだのは焙煎度の異なる3種類のブレンドコーヒーです。中煎りの「マイルドブレンド」、中深煎りの「季節のブレンド・春」、深煎りの「フレンチブレンド」。それぞれ豆の産地や配合も違う店舗オリジナルのコーヒーです。
「マイルドブレンド」はフルーティーで酸味も程よく、明るく爽やかな印象のコーヒーで、まろやかな味わいが特徴です。「季節のブレンド・春」は、季節毎に内容が変わるコーヒーで、2月の立春から販売しています。酸味や苦味、甘さのバランスが良く、ミルクチョコのような味わいも感じられます。「フレンチブレンド」はビターでスパイシー。酸味を抑え、どっしりとしたコクと甘さを味わうことができます。
蕎麦朧とのペアリングで
ベストなコーヒーは
それぞれに違う味わいを楽しめる3種のコーヒーですが、蕎麦朧と合わせることで、いつもとは一味違う印象を持ちました。口の中に残る蕎麦朧とコーヒーが混ざり合った時の味の広がりや余韻の点でみてみると、もっとも相性が良かったのが「季節のブレンド・春」です。「マイルドブレンド」や「フレンチブレンド」の相性も悪くはありませんが、それぞれの持ち味が蕎麦朧にやや勝る印象もありました。「季節のブレンド・春」は蕎麦朧との一体感や、香りの広がりがきれいで、余韻も長く楽しむことができました。
このブレンドは、酸味やコクのバランスに優れるエルサルバドル産の豆をメインに、華やかな香りが特徴のエチオピア産の豆2種を合わせており、穏やかで陽気な春をイメージして作りました。蕎麦朧に含まれるバターやアーモンドの風味とのバランスも絶妙で、お互いをより引き立てる相性の良さを感じることができました。
今回の旬彩菓たむらさんとのコラボは、私としてもとても新鮮で楽しい時間となりました。相性の良いこの組み合わせを皆さまにも楽しんでいただけたらと思います。コーヒーで過ごす一時をぜひお楽しみいただけましたら幸いです。