• 生産からお届けまで
    日本郵便だからこそできる
    新しい商品を
    全国へ発信していきたい。

      • 日本郵便 デジタルビジネス戦略部

        係長 鈴木 雄輔

        Yuusuke Suzuki

      • 日本郵便株式会社 長野駐在
      • 長野市大字栗田752-1
        信越郵政研修センター内
      • https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/380project.aspx
      • 「さやまるプロジェクト」のトマトは、お近くの郵便局か郵便局のネットショップまで

社内の新規事業公募から
新たなビジネスの創出へ。

 生まれも育ちも宮城県。長野市とは縁もゆかりもない自分が今、ここで毎日トマトを作ることになるとは、日本郵便に就職した時点では思いもしませんでした。
 そのきっかけとなったのが、社内で行われた新規事業公募です。「郵便」「貯金」「保険」という主軸3本の、次の一手となる新たな事業を創出するため、仲間とともに提案したのが、「生産からお届けまでを一貫して行うオリジナル商品の開発」でした。これまで30年以上にわたって、地域の特産品を「ふるさと小包」として全国にお届けしてきた実績を礎に、自分たちがゼロから作るオリジナル商品を全国の皆さんにお届けすることができれば、郵便の強みを活かした新たな事業が展開できるのではないかと考えたんです。その第一弾として目をつけたのが「トマト」でした。選んだ理由は単純明快で、日本郵便といえば「赤」だから。また、トマトはハウス栽培で年間を通して生産することができ、技術的にもある程度確立されていて、新規参入しやすい点も導入のポイントでした。
 2段階のプレゼンを勝ち抜き、正式にプロジェクトとして動き出したのが、2018年3月のこと。全国にある候補地の中で長野市を選んだのは、日本の中心地であるという物流面での立地の良さと、トマト栽培に適した気候が決め手でした。そこから東京農業大学の協力を得て、日本郵便の新たな事業が始まったんです。

日本郵便だからできる
新鮮なトマトを全国へお届け。

 長野市栗田の日本郵便の裏手に、2棟のハウスが建ったのは、プロジェクト開始から半年後の10月のことでした。オープニングセレモニーに近くの小学校の児童さんたちを招待し、一緒に苗を植えたのも良い思い出です。長野市の郵便番号「380」にちなんで「さやまるプロジェクト」と名付けられたトマト栽培は、まず実証実験から始まりました。約20品種ほどのトマトを植え、自分たちだからこそ作れる「美味しいトマト」を追求。自分も農業は初めてだったので、まさに試行錯誤の日々でした。トマトは特に水の管理が難しく、気温や湿度、日照時間などが大きく影響します。データを基に安定した品質のトマトを栽培するノウハウを蓄積し、毎日手を掛け愛情を注ぎ、「これだ!」というトマトに到達できたのは、プロジェクト開始から約2年後の、2020年2月のことでした。
 現在、私たちが栽培しているトマトは2種類あります。長野県産フルーツトマト「さやまる」は、2月から5月頃までの糖度が上がる時期だけ収穫する、糖度8以上の濃厚な甘みが自慢です。6月から収穫が始まる「さやまるプロジェクトの朝採り完熟トマト」は、木で真っ赤に完熟したトマトを早朝に収穫し、すぐに予冷することで鮮度を保ちます。酸味と甘みのバランスがよく、食感がしっかりとして歯ざわりが良いため、お子さんやトマトが苦手な方からも美味しいと言っていただけますね。夏の間はチルドゆうパックでお届けするため、採りたての鮮度そのままを味わえます。
 「さやまるプロジェクト」はまだ始まったばかり。美味しいトマトを日本郵便のネットワークを活用して全国の皆さんにお届けし、プロジェクトを発展させることで地域雇用にも貢献していきたいと考えています。ハウスでのトマト栽培は高床式のため、高齢者でも作業しやすい農業です。年齢や性別を超え、誰もが笑顔でやりがいを持って働ける環境を作るのも、「さやまるプロジェクト」の目標のひとつ。このプロジェクトをロールモデルとして、全国から第2、第3のオリジナル商品を発信できれば嬉しいですね。

(2022年9月号掲載)