長野市栗田の日本郵便の裏手に、2棟のハウスが建ったのは、プロジェクト開始から半年後の10月のことでした。オープニングセレモニーに近くの小学校の児童さんたちを招待し、一緒に苗を植えたのも良い思い出です。長野市の郵便番号「380」にちなんで「さやまるプロジェクト」と名付けられたトマト栽培は、まず実証実験から始まりました。約20品種ほどのトマトを植え、自分たちだからこそ作れる「美味しいトマト」を追求。自分も農業は初めてだったので、まさに試行錯誤の日々でした。トマトは特に水の管理が難しく、気温や湿度、日照時間などが大きく影響します。データを基に安定した品質のトマトを栽培するノウハウを蓄積し、毎日手を掛け愛情を注ぎ、「これだ!」というトマトに到達できたのは、プロジェクト開始から約2年後の、2020年2月のことでした。
現在、私たちが栽培しているトマトは2種類あります。長野県産フルーツトマト「さやまる」は、2月から5月頃までの糖度が上がる時期だけ収穫する、糖度8以上の濃厚な甘みが自慢です。6月から収穫が始まる「さやまるプロジェクトの朝採り完熟トマト」は、木で真っ赤に完熟したトマトを早朝に収穫し、すぐに予冷することで鮮度を保ちます。酸味と甘みのバランスがよく、食感がしっかりとして歯ざわりが良いため、お子さんやトマトが苦手な方からも美味しいと言っていただけますね。夏の間はチルドゆうパックでお届けするため、採りたての鮮度そのままを味わえます。
「さやまるプロジェクト」はまだ始まったばかり。美味しいトマトを日本郵便のネットワークを活用して全国の皆さんにお届けし、プロジェクトを発展させることで地域雇用にも貢献していきたいと考えています。ハウスでのトマト栽培は高床式のため、高齢者でも作業しやすい農業です。年齢や性別を超え、誰もが笑顔でやりがいを持って働ける環境を作るのも、「さやまるプロジェクト」の目標のひとつ。このプロジェクトをロールモデルとして、全国から第2、第3のオリジナル商品を発信できれば嬉しいですね。