その後、フロントからお得意様担当に。地域企業のお客様に若輩の私がお伺いすることになり、とにかく不安でした。初めはお客様との会話が続かず、こんなにも自分の中に言葉がないんだと痛感しました。わからないことが何かもわからず、聞かれて初めて自分に知識がないことに気づくことも。プロのホテルマンとしてお客様に対峙するからには、知らないではすまないこともあります。試行錯誤を繰り返し、お客様の優しさや厳しさに育てていただいたように思います。今、自分がホテルマンとしていられるのも、当時のお客様があってこそと、心から感謝しています。
犀北館は一昨年、130周年を迎えることができました。永きにわたり歴史を積み重ねることができたのも、地域の皆さまからお力添えをいただき、長野という地に根ざすことができたからだと思っています。お客様にお会いする際に「犀北館です」とお伝えすると、「ああ、あのホテルね」と言っていただけることも多く、喜びとともに、自分もその永い歴史の一端を担っているのだという誇りと緊張を覚えます。犀北館の歴史をさらに140年、150年とつなげていくためにも、自分もさらに成長していきたいと思います。
この2年はコロナ禍の中、ホテルも厳しい状況下ではありましたが、スタッフ全員がもう一度、ホテルマンとして自分たちが成すべきことは何かを見つめる機会になりました。お客様からいただける「ありがとう」の言葉が、私たちの原動力です。常にお客様の立場に立って考え、行動することを全スタッフが意識し、お客様のご要望にお応えしていきたいと思います。
長野市は善光寺御開帳が6月末まで開催されます。犀北館も万全の対策を取った上で、常に変わらぬホテルサービスを心掛け、お客様をお迎えいたします。