陶芸作家としての経験や知識は、仕事にも活かされていると感じます。NHKの大河ドラマ「真田丸」が放映された時は、長野市観光振興課の職員として、「体感!! 戦国の絆 信州松代真田大博覧会2016」の実行委員会の事務局を担っていたのですが、その際に「松代らしいお土産が少ない」という観光客の声を多く耳にしたんです。そこで「真田丸」で知名度が向上した松代の新たな魅力のひとつとして、松代独自のお土産の開発を検討するべきなんじゃないか、と考えた時に思い浮かんだのが「柴石」でした。
柴石は、1560年に築城された松代城の石垣にも使われている安山岩です。松代の金井山、特に柴地区で古くから盛んに採石されており、真田十万石の城下町を支える産業として成長し、現在も石垣や石畳として利用されています。この柴石を粉砕した粉を粘土に混ぜ、松代焼の窯元と連携して、松代の素材と陶芸のコラボ作品をブランド化できないか、と考えたんです。
幸いにも松代の窯元の皆さんからの協力も得られ、各窯元の個性豊かな「六文皿」が松代の新たなお土産として発売されました。現在は、主に松代荘や各地の観光イベントで販売されています。
現在は、長野市文化芸術課に所属し、9月22日・23日に初めて長野市芸術館で開催される「伝統芸能こどもフェスティバル」の準備に取り組んでいます。企画のひとつとして、観覧の皆さまに伝統芸能、伝統工芸の良さを伝えるため、陶器の箸置きをプレゼントしようと制作を進めているところです。
松代の新たなブランドの立ち上げや、伝統芸能を若い世代に広く伝えていくことに、陶芸作家としての知識や経験を活かし、長野市を盛り上げる一翼を担っていることに誇りを感じます。
これからも陶芸作家として、市職員として、どちらも楽しみながら前向きに取り組み、自分なりの生き方を追い求めていきたいと思います。