その後、一度は藤屋から離れたのですが、縁あってお声を掛けていただきました。ちょうど「自分の力を試したい」と考えていた時期でもあったので、思い切って長野に戻ってきました。今は「パティスリーHEIGORO本店」「平五郎MIDORI長野店」「THE FUJIYA GOHONJIN」のすべてのスイーツを監修しています。
「パティスリーHEIGORO」では、オープン当初は若気の至りで、かなりモードなインパクトのあるケーキも作っていたのですが、年を追うごとに自然に近い色彩で上品に仕上げたものが多くなりました。味も、香りと甘さの調和を考え、軽すぎず重すぎず、「2個くらい食べられそう」と思えるくらいのバランスにこだわっています。
そのかわりといっては何ですが、毎年発表する新作のクリスマスケーキは、自分の1年間の経験をすべて注ぎ込んで作っています。今年のクリスマスケーキのお勧めは「チョコレート」。自分自身、今年はチョコレートを突き詰めた1年であり、ショコラティエとしてやっていこう、と道を決めた年でもありました。実はもうじき「ワールドチョコレートマスターズ」の国内予選大会があるんです。書類審査が通ったので、挑戦してこようと思っています。会社も応援してくれるので感謝しています。
チョコレートは本当に奥が深くてまだまだ勉強することばかりですが、いずれは長野でチョコレートといえば「平五郎」と言われるようになりたいと、大きな夢を掲げています。クリスマスが終われば次はバレンタインデー。ショコラティエとしての本領を発揮できるよう、今からアイディアを練っているところです。