既に定番のジャムやシロップ、干し杏などは作っていたので、それをベースにさまざまな商品を開発していきました。例えば「杏紅茶」は、干し杏をベースにハーブをブレンドした無添加のフルーツ紅茶です。昔からあったものを別の形に加工することで、より幅広い年齢層の方に楽しんでいただけるお土産に変わりました。大勢の方に手に取ってもらいたいので、味はもちろんパッケージにもこだわっています。はじめは「あんずの里」を訪れた方に買って帰ってもらうことを前提に商品開発をしていたのですが、今は逆に、商品を味わってもらうことで、「あんずの里に行ってみたい」と思ってもらえるようにしたいと考えています。商品が、人を動かすこともあると思うんです。
残念なことに今、森地区の杏の木は減少傾向にあります。高齢化が進み後継者がいない中、杏の木を維持することが難しくなってきているのです。行政も頑張っていただいているのですが、なかなか厳しい問題です。
そんな中、住んでいる私たちができることをやろうと、3年前に花さかフェスタ実行委員会を立ち上げ、花の時期に合わせて「花さかフェスタ」を開催しています。まずは住んでいる人や地元の子どもたちが楽しめること。そんな中で子どもたちが、「おじいちゃんの杏の木を切らずに守っていこう」と思えるようになってほしい。ゆっくりでも、意識改革に繋がっていってほしいと思っています。そしていつか、「あんずの里」を昔のような素晴らしい景観に戻していきたいのです。
フェスタでは、地元の友人や企業、ボランティア団体さんなど、大勢の方が協力してくださっています。私一人ではできないことも、「あんずの里」を愛する多くの方の力があれば守ることができると信じて、これからも「あんずの里」の未来のために、できることをひとつずつやっていきたいと思っています。