• 長野という地と人の縁に導かれ
    ここで新しい看護教育に
    挑戦できることに
    心からの誇りと喜びを感じています。

      • 清泉女学院大学
        看護学部 学部長

        津波古 澄子

        Sumiko Tsuhako


      • 清泉女学院大学 看護学部
      • 長野市栗田1038-7
      • 026-219-1650
      • https://www.seisen-jc.ac.jp/

10年先の看護を学ぼうと
海外に飛び出して

 自分の人生を最初に方向づけたのは、高校時代の恩師の一言でした。日本史の先生の「これからのあなたたちは、世界のどこで、何をしているかが大事なんです」という言葉が、自分の中にすっと入ってきて。それまで漠然とWHOや看護の分野で働きたいと考えていたのですが、その学びのスタートを、新しい国で、新しい言葉で、新しく学び始めることに決めました。
 留学当初は英語の壁に阻まれることもありましたが、多くの方に支援をいただきながら、アメリカのオクラホマ・バプテスト大学看護学部に入学しました。そこでまず叩き込まれたのが、「あなたたちはプロフェッショナルになるんだ」ということ。講義の内容も教授たちの姿勢も、一貫して「プロフェッショナルを育てる」という視点で組まれていたと思います。この大学で看護のプロフェッショナルとして、自ら考え、自ら行動することの意義を学べたことが、今の私の指針となっています。
 日本に戻って臨床の現場を経験した後、看護教育に進もうと決めたのは、自分が思う「看護」と日本の「看護」の違いが、教育にあると考えたからです。日本の看護はとても高い水準にあると確信していますが、今後はさらにプロフェッショナルとして、自ら考え、自ら改革していける人材が必要になってきます。そういう意味でも、今回ご縁をいただいて、長野の地に新しい看護学部を開設できたことを、本当に嬉しく思っています。

ここから長野の看護の未来を拓き、
リーダーを育てたい

 4月3日、清泉女学院大学看護学部に新入生が入学しました。1期生となる彼女、彼らの希望に満ちた表情を見て、私自身、この長野の地で目指す10年後の看護の実現へ、第一歩を歩み出すことができたと改めて実感しています。
 清泉女学院大学の目指す看護教育の根幹は、「時代に対応できる看護のプロフェショナルを育てる」ということです。そのためには、自分で考え、判断する「思考力」、あらゆる人、あらゆる状況に柔軟に対応する「共感力」、確かな専門知識と技術を備えた「実践力」を育てていかなければなりません。また、人としての成長の幅を広げる教養課程も重要だと考えています。
これらの人格形成と知識と技術の修得を目指して熟考した新しい看護教育のカリキュラムに、これから1期生たちは挑戦していきます。自ら問い、自ら学び続けることで、4年後にプロフェッショナルとして羽ばたく学生たちを、そして10年後、看護のプロとして現場で輝く姿を、今から楽しみにしています。
 また、本学では医療的ケアが必要な子どもが普通の学校で学ぶ際に対応できる養護教諭1種免許も取得できるので、さまざまな分野に活躍の場が広がると考えています。清泉女学院大学を卒業した学生たちが、長野の看護の未来を拓くリーダーとして活躍してほしいと願っています。
 さらに看護学部では、学生が災害看護を120時間履修することになっています。これは山に囲まれた長野の地域特性も鑑み、災害に関する基礎的知識や技術を学ぶことで、地域、そして世界で活躍できる力を身につけた看護師を、長野から輩出することを目指しています。2021年には大学院を開設し、災害看護教育や助産師教育に力を注いでいく予定です。
 看護学部は、長野駅の東口から徒歩1分という好立地に位置し、1階には地域の皆様と交流できるようテラススペースを用意しています。現在、公開講座について検討を始めており、夏頃には開催したいと教員たちで話し合っています。いずれにしても、始まったばかりの大学です。学生、教職員、そして地域の方たちとともに大切に育てていきたいと思っています。

(2019年6月号掲載)