退職後、オンサイテック株式会社を起ち上げたのは、在職中に描いた「夢」がきっかけでした。ある仕事の中で「改質リグニン」という新しい素材に出会い、「これからは循環型社会を目指すべきだ」と、ある席で語ったところ、松本にある企業の社長さんから、資本出資するというお話をいただけたんです。
「改質リグニン」とは、日本固有の樹木であるスギから作るバイオ由来の新素材で、熱に強くて軽く、プラスチックの代わりになる素材としてプラント建設も始まっています。現在、国立研究開発法人である森林総合研究所が中心となって「リグニンネットワーク」を展開。オンサイテックも加盟し、今後、「改質リグニン」の普及に尽力していく予定です。
また、リグニンを知るきっかけとなった有害鳥獣の有効活用についても、新たな鳥獣対策システムを構築していきたいと考えています。最近ジビエがブームとなり、長野県内でもジビエを出す店が増えてきていますが、その安全性については、まだ道半ばといったところです。鹿やイノシシといった野生動物は、狩猟後1時間以内に内臓等の処理をしないと食べられなくなるため、現地でいかに安全に素早く解体し、加工工場まで衛生的に移動することができるかが重要です。この課題に、これまでの知識と経験を活かして取り組んでいくつもりです。
また、オンサイテックは次世代に対応した超小型モビリティ「BLAZE(ブレイズ)」の正規販売店でもあります。ブレイズは公道を走れるEVスクーターやバイクなどで注目を集め、コロナ禍での新たな通勤手段としても需要が高まっています。長野市で実物を見ることができるのは当社だけ。興味のある方は一度見に来てもらえれば嬉しいですね。うちの社員もこれで通勤していますが、長野ではまだ珍しいので注目の的ですよ。
「改質リグニン」の普及と「鳥獣対策」、「EVモビリティ」の促進。いずれもベースにあるのは循環型社会の実現であり、ゼロカーボンへの挑戦です。私たちオンサイテックの取り組みは、今、始まったばかりです。