• 千曲川の流れに沿うように
    多くの寺が建ち並ぶ
    寺の町いいやまを巡って
    心静かなひとときを。

      • 韶陽山 大聖寺(曹洞宗)

        住 職 伊達 邦典

        Houten Date


        副住職 伊達 広道

        Houten Date

      • 韶陽山 大聖寺(曹洞宗)
      • 飯山市大字飯山3177

歴史ある大聖寺の
30世として飯山に根付いて。

 幾多の寺が建ち並ぶ「寺の町いいやま」の中でも古い歴史を持つ、韶陽山大聖寺。その30世として、1975(昭和50)年に住職を任されることとなりました。上田の生まれですので、はじめは飯山の雪深さに驚きましたね。地域の皆さんや檀家の皆さんに温かく迎えていただき、本当に感謝しています。
 大聖寺は1570(元亀元)年に創立され、飯山城の城主であった佐久間備前守安政、安長、安次の、三代城主の菩提寺でもあります。飯山城を中心に、東に千曲川、西に多くの寺院を配することで、城の守りを固めたと伝えられる飯山。城は跡地となりましたが、「寺の町いいやま」として、その歴史は今につながっています。
 創立から今日まで、450余年の時を紡いできた大聖寺の本堂には、勝海舟、高橋泥舟とともに「幕末の三舟」と称される山岡鉄舟の書が残されています。これは明治のはじめ頃に、臨済宗の僧侶、道鏡慧端の庵であった「正受庵」の廃庵を惜しんだ山岡鉄舟が飯山を訪れた際、大聖寺に滞在したご縁で残されたものです。襖8本にわたり力強く書かれた筆跡は、どなたでもご覧いただくことができます。

寺の町いいやまの
地域に開かれた寺として。

 飯山では以前より、「寺の町いいやま」に多くの方が訪れてくださることを目指して、「寺巡り」や「七福神巡り」などを企画しています。私たちも地域を盛り上げるために、できる限りご協力したいと思っております。大聖寺独自としては、写経体験や写仏体験、坐禅などの体験も受け付けています。飯山の豊かな自然を身近に感じながら、心静かに写経や写仏、坐禅に取り組んでいただくことで、自らに立ち返るひとときをお過ごしいただけると思います。
 また、曹洞宗大本山永平寺で修行を積んだ副住職による精進料理を、ご予約いただいた皆さんへご提供しています。曹洞宗では、食事を作ることも、食べることも、大切な修行のひとつとして捉えられています。副住職は永平寺での修行中に、「大庫院(だいくいん)」と呼ばれる厨房で精進料理を学びました。曹洞宗といえば、有名なのが「胡麻豆腐」。豆腐といっても大豆から作る豆腐ではなく、本葛と胡麻を練り上げることで作られる精進料理です。一品一品丁寧に手をかけて、副住職が自ら手作りする精進料理を食する機会はあまりないかと思います。精進料理をいただくことで、「いただきます」の心、所作、作法に込められた心を学ぶことができます。
 さらに月に一度、住職による「大人の寺子屋」も開催しています。飯山の各寺の住職が持ち回りで法話や茶話会を開き、皆さんの悩みや思いに寄り添います。また四季折々に彩られる山門では、門前市を開いております。農産物をはじめとする近隣各店の品を揃え、多くの皆さんに親しまれています。お近くにお越しの際には、お気軽にお立ち寄りいただければと思います。
 新型コロナウイルスによるさまざまな制限により、この2年は仏事にも大きな影響が出ています。故人をお送りするお葬式や法事も簡素化され、ご先祖様を大切に思う心がどんどんと希薄になっているように感じます。時代の変化を受け入れながらも、無くしてはならない心、守るべき心を、これまで以上に大切にしていかなければならない時代がきているように思います。私たちが日々生きていく中で、もっとも大切にしなければならないのは、慈悲の心です。お互いが寄り添うことを忘れずに、日々を過ごしていければと思います。

(2022年8月号掲載)