• 言葉を交わし笑顔あふれる
    善光寺びんずる市から
    ながの全体に
    素敵な輪が広がっていく。

      • 善光寺びんずる市実行委員会 実行委員長
        株式会社convivium

        代表取締役 箱山 正一

        Shoichi Hakoyama

      • 株式会社convivium
      • 長野市西之門町500-1
        西の門ホワイトハウス2F. room3
      • 善光寺びんずる市HP
      • https://www.binzuru-ichi.com/

ふとん屋の4代目として
地域を活性化したいと願い。

 善光寺の西側、西之門町で生まれ育ち、現在は創業100年を超えるふとん店の4代目として、商売はもちろん、「門前町ながの」のためにできることを考え、皆と力を合わせてさまざまなことに取り組んでいます。
 今の私からは想像がつかないかもしれませんが、子どもの頃は喘息で体が弱かったこともあり、家で細々としたものを作るのが好きだったんです。小学校高学年で担任になった先生のおかげで少しずつ体が丈夫になり、中学からはバレーボールやバスケットなど、チームスポーツに熱中。みんなで力を合わせて目標を目指す喜びを知ることができました。一人でもくもくと物を作る手仕事の楽しさとチームスポーツ。一見両極に感じますが、どちらも今の自分を形作るバックボーンになっています。
 実は、初めはふとん屋を継ぐ気はなく、西之門で飲食店をやろうと思っていたんです。そのつもりで30歳まで東京で働き、その後、修業を兼ねて小布施堂に。でもそこで小布施町の町づくりやおもてなしの精神に触れ、自分が暮らす門前町との違いに衝撃を受けたんです。古いものを壊すことが町づくりではないと熟考する中、店が創業100年を迎え、この歴史を自分の代で途絶えさせるわけにはいかないと、店を継ぐことに決めました。

善光寺びんずる市から
地域によい循環を生み出したい。

 ちょうどその頃、門前では新しい風が吹き始めていました。西之門町の通りは南北の1本だけで123mしかないんですが、移住してきた人が面白い活動を始めていて。自分も何かしたいと、町の仲間とともに西之門町青年部を起ち上げて動き出しました。中でも月1回、第4日曜日に開催していた「西の門市」は好評で、継続することで町に人が集まる「場」を作ることができるんだという喜びと手ごたえを感じることができました。その様子を善光寺の御住職が見ておられて、声をかけていただいたのが「善光寺びんずる市」の始まりです。
 「おびんずるさん」といえば長野では知らない人はいないでしょう。撫仏として親しまれ、治したい部位を撫でられ続けて、お顔も足もつるつるになっています。そんな「おびんずるさん」が2013年に300歳になられるということで、それを機に善光寺という「場」を活かして、人が行き交い、賑わいと笑顔があふれる「善光寺びんずる市」が始まりました。コンセプトは「手しごと」。アマからプロまで、クラフト作家さんや地域の農家さん、力を試したいパン屋さんやパティシエさんなど、自分の手しごとを紹介・販売する場として出展してくださっています。遠くは九州や東北からも出展。口コミで評判が広がり、今では毎月多くの店が立ち並ぶようになりました。またびんずる市に出展、関わった人たちが門前の空き家をリノベーションしてお店を開くなど、びんずる市を通して地域の活性化にもつながっています。この循環こそが目指すべきことであり、「人」と「町」がびんずる市を通して繋がり、門前の未来が再興されていくことを願っています。
 この2年はコロナ禍もあり厳しい状況が続きましたが、権堂に出張するなど工夫することで、「びんずる市」を途絶えさせることなく続けてきました。その取り組みが評価され、昨年は「グッドデザイン賞」を受賞。10周年を迎えた今年は御開帳の年ということもあり、大いに盛り上がっています。次回の開催は6月25日(土)。城山公園周辺で10時から開催されます。7月からは善光寺境内で毎月第2土曜日の10時から16時まで開催。ぜひ多くの皆さまにご来場いただき、ものづくりを通じた出会いを楽しんでいただきたいと思います。

(2022年7月号掲載)