• 歴史ある犀北館の
    ホテルマンとして
    プロとしての誇りを胸に
    お客様にお応えしていく。

      • 長野ホテル犀北館
        カスタマー・エクスペリエンス推進室
        お得意様担当

        支配人 笠井 由美

        Yumi Kasai

      • 株式会社 長野ホテル犀北館
      • 長野市県町528-1
      • https://www.saihokukan.com/

長野冬季オリンピックの経験が
自分を成長させてくれた。

 学校のみんなが友達というような、田舎の小学校、中学校で過ごした子ども時代。兄がいたこともあり、皆で野山を駆け回ったりキャッチボールをしたりと、体を動かして遊ぶことが大好きでした。高校に入学してからは、そのエネルギーをすべてバレーボールに注ぎ込み、短大時代もインカレを目指して練習の日々を過ごしました。
 ホテルとの関わりは、部活の遠征です。大会の際に宿泊したホテルでフロントの方がとても優しく対応してくれました。こちらは田舎から出てきた学生で右も左も分からない中、丁寧にいろいろ教えてくださって、その笑顔がキラキラと輝いて見えました。こういう人になりたいなと思ったのが、ホテルマンを目指すきっかけになりました。
 犀北館に入社してからは、無我夢中で仕事を覚えました。ホテルといってもその業務はさまざまで、宿泊から宴会、ブライダル、レストランと覚えることは多岐にわたり、毎日が刺激的でした。中でも1998年に開催された長野冬季オリンピック・パラリンピックは、忘れられない思い出となっています。天皇皇后両陛下主催の宮中晩餐会が開かれ、各国のVIPがご出席されたり、皇族や各宮家の皆さまがご宿泊されたりと、警備も厳重で極限の緊張が続きました。期間中は組織委員会の方からの変更に次ぐ変更に対応する日々で、一瞬たりとも気を抜くことができませんでした。この経験を通して、ホテルマンとしての自覚が自分の中に根付いたように思います。

歴史あるホテルの一員として
常にお客様視点での対応を。

 その後、フロントからお得意様担当に。地域企業のお客様に若輩の私がお伺いすることになり、とにかく不安でした。初めはお客様との会話が続かず、こんなにも自分の中に言葉がないんだと痛感しました。わからないことが何かもわからず、聞かれて初めて自分に知識がないことに気づくことも。プロのホテルマンとしてお客様に対峙するからには、知らないではすまないこともあります。試行錯誤を繰り返し、お客様の優しさや厳しさに育てていただいたように思います。今、自分がホテルマンとしていられるのも、当時のお客様があってこそと、心から感謝しています。
 犀北館は一昨年、130周年を迎えることができました。永きにわたり歴史を積み重ねることができたのも、地域の皆さまからお力添えをいただき、長野という地に根ざすことができたからだと思っています。お客様にお会いする際に「犀北館です」とお伝えすると、「ああ、あのホテルね」と言っていただけることも多く、喜びとともに、自分もその永い歴史の一端を担っているのだという誇りと緊張を覚えます。犀北館の歴史をさらに140年、150年とつなげていくためにも、自分もさらに成長していきたいと思います。
 この2年はコロナ禍の中、ホテルも厳しい状況下ではありましたが、スタッフ全員がもう一度、ホテルマンとして自分たちが成すべきことは何かを見つめる機会になりました。お客様からいただける「ありがとう」の言葉が、私たちの原動力です。常にお客様の立場に立って考え、行動することを全スタッフが意識し、お客様のご要望にお応えしていきたいと思います。
 長野市は善光寺御開帳が6月末まで開催されます。犀北館も万全の対策を取った上で、常に変わらぬホテルサービスを心掛け、お客様をお迎えいたします。

(2022年6月号掲載)