• ここを「港」として人が集まり、
    それぞれの思いを胸に
    自分の力で航海へと旅立つ。
    そんな「場所」で在りたいと思います。

      • NPO法人 コミュニティビジネスネットワーク長野

        理事長・若者支援担当 石田 浩也

        Hiroya Ishida

      • NPO法人 コミュニティビジネスネットワーク長野
        NAGANO若者フリースペース N-port
      • 長野市栗田1020-6 ステラビルBY(長野駅東口徒歩2分)
      • 026-219-2188
      • https://nagano-port.com

「自分がどう在りたいか」を
追い求めて長野に。

 出身は神奈川県。長男でしたので大学を卒業後、企業に就職して、妻と2人の子どもと共に自分の両親と同居しながら働いていました。絵に描いたような安定した暮らしの中、大きな組織の中で自分の役割を果たしていく充実感はあったのですが、ある時ふと、自分の未来が見えてしまった、決まってしまったような気がしたんです。
 「このままでいいのか」「自分はどうなりたいのだろうか」そんな思いがよぎるようになった頃、偶然なのか必然なのか縁あって、それまで一度も来たことのない「長野」の会社に転職することを決めました。思い返せば妻も子もよくついてきてくれたと思います。そして驚いたことに私たちがIターンしたすぐ後に、両親が神奈川の家を売って長野に移住してきたんです。すでに定年を迎えていたとはいえ、これには本当にびっくりしました。石田家の故郷が「長野」に変わった瞬間でした。
 長野では人事系の仕事でキャリアを積み、2008年5月に独立してダイヤモンド就活ナビの長野編集部を運営。今日まで県内企業の人事採用支援や学生の就活支援に力を注いできました。
 そんな中、出会ってきた若者たちがみんな「迷っているな」と感じたのが「N−port」を立ち上げたきっかけです。就活をする学生だけでなく、社会人となった若者も、自分がどの道を進めばいいのか分からずに迷っている。そんな若者たちに寄り添って、「選択肢」が見えるようにサポートすることができるんじゃないか。そんな思いで2014年4月にNPO法人コミュニティビジネスネットワーク長野を設立し、昨年2月、長野駅東口に若者フリースペース「N−port」をオープンしました。

この場所を「港」として
集まり、そして旅立ってほしい。

 「N−port」は、若者支援・地域支援・創業支援の3つを軸に、相互に影響しながら若者を支援しています。オープンしてちょうど1年が過ぎましたが、こちらが想定していた以上に、さまざまな人がそれぞれの思いを持って訪れています。
 そんな若者たちに対して私が常に意識し気をつけているのが、「自己満足に陥らない」ということ。自分の持っているキャリアや知識を若者たちに押し付けるのは、自己満足でしかありません。そういった「場」は非常に閉鎖的になり、こちらの思いや考えに賛同する人だけが残って、そうではない人を受け入れなくなってしまう。それでは本当の意味での「支援」はできないと思うんです。
 悩んでいる、迷っている、どうすればいいのか分からない。そんな相手の思いや迷いを引き出し、教えるのではなく選択肢を出してあげる。寄り添うことによって、自分の力で気付くきっかけを与え、時には見守り、一緒になって考える。そんな中で一人ひとりが自分自身で考え、自分で選んで、ここから新たな行動を起こせるようになってほしいと願っています。
 「N−port」は、ルールがないのがルールです。平日は午後1時から夜の9時まで。土・祝は午前10時から夕方6時まで開いています(日曜日は定休日)。平日の夜にはサラリーマンの方がふらっと立ち寄って仕事について語り合ったり、企業の社長さんが突然来て、その場でディスカッションが始まることもあります。
 これからもあらゆる人が笑顔で自由に行き来する「港」でありたい。誰もが自分の目的を叶えるための「場」で在り続けたいと思っています。

(2018年4月号掲載)